外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会 中間まとめ – 厚生労働省

外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ(2015年2月)

1. 本検討会について

外国人介護人材の受入れに関しては、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)において、外国人技能実習制度の対象職種に介護分野を追加することについて、日本語要件等の介護分野特有の観点を踏まえつつ、年内を目途に検討し結論を得る、介護福祉士資格等を取得した外国人留学生が、卒業後の国内での就労を可能とするため、在留資格の拡充を含め、年内を目途に制度設計等を行うこととされている。

また、我が国では平成20年度より経済連携協定(EPA)に基づき、特例的に外国人介護労働者の受入れを開始し、現在は3か国から介護福祉士候補者を受入れている中で、その更なる活用を求める声がある。

こうした要請に応えるため、本検討会では、学識経験者や介護サービス関係者を参集し、平成26年10月以降、平成27年1月までに7回開催し、検討を行ってきた。

2. 検討に当たっての基本的な視点

次の2つの視点に基づき検討を行うこととした。

(1) 検討に当たっては、議論の対象となる各制度は、人材不足への対応を目的としているものではないことから、次のような各制度の趣旨に沿って進めていくべきである。技能実習:日本から相手国への技能移転・資格を取得した留学生への在留資格付与:専門的・技術的分野への外国人労働者の受入れ

EPA:経済活動の連携強化を目的とした特例的な受入れ他方、2025(平成37)年に向けて、最大で約250万人規模の介護人材を確保するには、国内の人材確保対策を充実・強化していくことが基本であり、外国人を介護人材として安易に活用するという考え方は採るべきではない。

この点に関し、国内人材の確保に向けた具体的方策の在り方については、現在、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会において検討を進めているところであり、それらを踏まえた「総合的な確保方策」をとりまとめるとともに、具体的な施策が講じられる予定である。

(2) 介護分野における外国人の受入れの検討に当たっては、指摘されている様々な懸念に対応するため、次の3つの点について適切な対応が図られるような在り方について検討する必要がある。

 (ア)介護職に対するイメージ低下を招かないようにすること

 (イ)外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること

 (ウ)介護は対人サービスであり、また、公的財源に基づき提供されるものであることを踏まえ、介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること

3.技能実習への介護職種の追加について

(1)基本的な考え方

技能実習制度は、日本から相手国に対して、技能移転を通じた「人づくり」に協力することが基本理念とされている。日本は他国と比較し、高齢化が急速に進展しており、認知症高齢者の増加等、介護ニーズの高度化、多様化に対応している日本の介護技術を海外から取り入れようとする動きも出てきている。こうした介護技能を他国に移転することは、国際的に意義のあるものであり、制度趣旨にも適うものである。

しかし、介護を職種追加することの可否を判断するに当たっては、2(2)に述べたように、様々な懸念に対応するための3つの点について適切な対応が図られるかどうかを踏まえることが必要である。その際、現行の技能実習制度に対しては種々の問題指摘があり、それに応えるための抜本的な見直しが進められていることを踏まえた対応が採られるべきであること、対人サービスとして初めての職種追加の検討であることから、より的確な対応が求められることを踏まえる必要がある。

他方、技能実習制度本体の見直しでは、制度の趣旨・目的に沿った技能等の修得・移転が確保され、かつ、技能実習生の人権確保が図られるよう、制度の適正化に向け
・確実な技能等の修得・移転(制度趣旨・目的の徹底)
・監理団体による監理の適正化及び公的機関による監視体制の強化等
・技能実習生に対する人権侵害行為等への対応の強化
・送出し機関への規制の実効性の強化等の見直し方策
が検討されている。
本検討会においては、技能実習制度本体の見直しの検討状況について聴取したが、その内容は十分評価できるものである。したがって今後、その結果が制度化され、適切な運用が図られることが担保されることを前提として、介護を職種追加することについて具体的に検討することとする。

(2)職種追加するとした場合の個別の検討事項について

技能実習制度に介護を職種追加する場合には、様々な懸念に対応するため、2(2)で掲げた3つの点について適切な対応が図られるような制度設計が行われ、運用が担保されることが必要である。

具体的には、以下の事項が担保されることが必要となる。

 (ア)介護職に対するイメージ低下を招かないようにすることイ介護という仕事について、日本語能力の乏しい外国人が担う「単純な肉体労働」という印象を持たれないようにすることロ介護業界について、外国人を安価な労働力として使う業界であると認識されないようにすることハ外国人を介護ではなく、単なる下働きとして使うために制度を活用しているとの疑念を持たれないこと

 (イ)外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること二外国人でも、日本人と同等 の労働を行う場合には、同等の処遇を行うことが担保されることホ同じ職場で働く日本人従業者と円滑な連携ができる環境が整備されること

 (ウ)介護のサービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすることへ利用者が安心してサービスを受けるのに必要な程度の言語能力が担保されることト技能実習生であっても、他の日本人と比較し、サービスの水準が著しく劣ることがなく、安定性や確実性が担保されていることチ利用者との間でトラブル等が起きたり、技能実習生の労働者としての権利が侵されたりする状況を生じないこと

こうした具体的内容を踏まえ、3つの点について適切な対応が図られるようにするために検討を要する事項は、以下のとおりである。

 ①移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化(イ、ハに関連)

     ②必要なコミュニケーション能力の確保(イ、ホ、へに関連)

     ③適切な評価システムの構築(イ、ハに関連)

     ④適切な実習実施機関の対象範囲の設定(ハ、チに関連)

     ⑤適切な実習体制の確保(トに関連)

     ⑥日本人との同等処遇の担保(ロ、二に関連)

     ⑦監理団体による監理の徹底(ロ、二、トに関連)

こうした個別の検討項目について、様々な懸念に対応するためには、以下のいずれかの考え方が採られることが求められる。

 (ア)現行の技能実習制度に基づき、適切に対処することにより対応できるもの

     (イ)技能実習制度本体の見直しが行われ、施行されることにより対応できるもの

     (ウ)(イ)に加え、介護職種固有の要件等の制度設計が行われることにより対応できるもの

個別の各検討事項について、職種追加する場合に求められる水準・内容、具体的な対応の在り方、制度設計等の進め方についての考え方は次のとおりである。

①移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化

介護職種を追加する場合に求められる水準・内容・介護は多様な業務が混在しているため、実質的な労働力確保の方策として本制度が利用され、日本語能力の乏しい外国人が担う「単純な肉体労働」という印象を持たれる恐れがある。このため、適切な技能移転を図るため、その対象とする「介護」の業務内容・範囲の明確化を図る必要性がある。

※技能実習制度において、作業内容は、必須作業、関連作業、周辺作業に分類されている(公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)の内規に規定)。その内容は以下のとおり。

‐必須作業:技能実習生が技能等を修得するために必ず行わなければならない作業。実技試験の出題範囲に該当。実習計画のおおむね半分以上。

‐関連作業:必須作業に携わる者が当該職種・作業の工程において行う可能性がある作業のうち、必須作業には含まれないが、その作業が必須作業の技能向上に直接又は間接的に寄与する作業。実習計画のおおむね半分以下。

‐周辺作業:必須作業に携わる者が当該職種・作業の工程において通常携わる作業のうち、必須及び関連作業に含まれない作業。必須作業の技能向上に直接又は間接的に寄与する作業ではない。実習計画の1/3以下程度。イ具体的な対応の在り方・制度本旨である技能移転を達成するには、技能実習制度の考え方に沿って対応することが適当であるが、介護については、従来のものづくり等の対物サービスと性格が異なることから、「作業」ではなく「業務」として整理し、移転すべき介護業務の具体的な内容を明示することが必要である。

また、移転の対象となる「介護」業務が、単なる物理的な業務遂行とならないよう、一定のコミュニケーション能力の習得、人間の尊厳や介護実践の考え方、社会のしくみ・こころとからだのしくみ等の理解に裏付けられたものと位置づけることが重要である。特に、認知症ケアについては我が国の介護技能の特徴をなすものであり、また国際的にも技能ニーズが高まることを踏まえ、関連する知識等の理解を伴うものとすることが重要である。

上記の考え方の下、「介護」業務については、次のように類型化すべきである。

    •  ‐必須業務:身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)

       ‐関連業務:身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)

       ‐周辺業務:その他(お知らせなどの掲示物の管理等)

  • ②必要なコミュニケーション能力の確保

     ア 介護職種を追加する場合に求められる水準・内容

    ・介護はコミュニケーションを前提として業務を遂行する対人サービスであるとともに、利用者の中には、認知症などを抱える方もいるため、日本語によるコミュニケーション能力が不可欠の要素である。

    ・また、介護はチームケアであるため、利用者・家族とのコミュニケーションのみならず、同僚である介護職員や他職種との連携を担保する観点からも、日本語による一定のコミュニケーション能力が求められる。

    ・さらに、介護現場で必要とされる基礎的な専門用語、地域ごとの方言についての一定の理解も求められる。

     イ 具体的な対応の在り方

    ・現在、技能実習制度の対象職種において、技能実習生に日本語能力の要件を課している例はないが、介護分野においては、一定の日本語能力を要件とすべきである。介護分野の技能実習制度における日本語要件については、
     ‐技能を学んで帰国することを前提とする技能実習制度の性格(国家試験の受験・合格による国家資格取得と引き続き我が国で就労できることを目的とするEPAとの違い)

       ‐段階を経て技能を修得するという制度の趣旨から期待される業務内容や到達水準との関係

    を踏まえ、技能実習生に求められる日本語水準と担保の在り方を考える必要がある。
    したがって、日本語能力試験「N3」程度を基本としつつ、業務の段階的な修得に応じ、各年の業務の到達水準との関係等を踏まえ、適切に設定する必要がある。

    具体的には、1年目(入国時)は、業務の到達水準として「指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル」を想定することから、元本的な日本語を理解することができる水準である「N4」程度を要件として課し、さらに「N3」程度を望ましい水準として、個々の事業者や実習生の自主的な努力を求め、2年目の業務への円滑な移行を図ることとする。

    また、実習2年目(2号)については到達水準として「指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル」を想定することから「N3」程度を2号移行時の要件とする。

    なお、緊急時の対応等や、介護記録の作成や利用者への説明のため、「N2」程度(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)が必要との意見もあった。こうした日本語によるコミュニケーション能力を実効的に担保できない場合、介護現場の混乱や介護事故等のおそれもあることから、確実に担保できる方策を講じることが適当である。

    また、専門用語や方言についても一定程度の理解ができるよう、実習実施機関による研修等を実施すべきである。

    ③適切な評価システムの構築

     ア 介護職種を追加する場合に求められる水準・内容

    適正な技能実習を実施するには、実習成果を評価できる適切な公的評価システムが必要であるが、「介護」には評価に関する既存の枠組み(技能検定又はこれに代わる公的評価システム)が予め確立されていないことから、新たな公的評価システムを構築する必要がある。その際、介護は単なる作業ではなく、利用者の自立支援を実現するための思考過程に基づく行為であることを踏まえ、それに必要な考え方等の理解を含めて、移転の対象と考えることが適当である。

     イ 具体的な対応の在り方

    技能実習時の各年の到達水準については、限られた期間で修得可能なレベルであること、技能実習生が帰国した後、母国において、修得した技能を発揮することが求められることの双方のバランスを考慮する必要があることを念頭に置き、次のとおり設定すべきである。

     1年目修了時:指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル

       2年目修了時:指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル

       3年目修了時:自ら介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベルまた、今後、技能実習制度本体の見直しにより、技能実習の延長又は再実習(最長5年間)が実施される場合は、以下の到達水準とすべきである

       5年目修了時:自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を実践できるレベル

    評価対象については、介護にかかる動作として目視できる表層的な作業内容だけでなく、その業務の基盤となる能力、考え方も含めて評価項目、評価基準等を設定すべきである。 具体的には、一定のコミュニケーション能力の習得、人間の尊厳や介護実践の考え方、社会のしくみ・こころとからだのしくみ等の理解に裏付けられたものであることを十分に踏まえ、構築する必要がある。なお、その際、既存の研修(初任者研修や実務者研修等)の考え方を参考にすべきとの意見があった。試験実施機関については、現行制度上求められる試験実施機関としての適格性を満たす必要がある。その際、全国で適正に評価試験を実施できる団体であること、試験実施について一定程度実績のある機関を設定することがより望ましいとの意見があった。

    ④適切な実習実施機関の対象範囲の設定

     ア 介護職種を追加する場合に求められる水準・内容

    ・内容 いわゆる「介護」は、日常生活上の行為を支援するものであり、多様な場で展開され得るものである。しかしながら、適切な技能移転を図るためには、移転の対象となる「介護」の業務が行われていることが制度的に担保されている範囲に限定すべきである。また、複数の職員が指導可能な施設サービスとは異なり、訪問系サービスについては、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえ、技能実習生に対する適切な指導体制の確保、権利擁護、在留管理の観点に十分配慮する必要がある。介護分野の有効求人倍率は他産業と比較して高く、人材確保が困難な事業所が多い。このため、開設後の年数が浅い施設等が、経営が軌道に載らないまま技能実習生を受入れた場合には、技能実習生に対する適切な指導体制をとることができないという恐れがあり、こうした懸念を回避することが求められる。

     イ 具体的な対応の在り方

    ・実習実施機関の範囲については、「介護」の業務が関連制度において想定される範囲として、介護福祉士の国家試験の受験資格要件において、「介護」の実務経験として認められる施設に限定すべきである。訪問系サービスは利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることから、適切な指導体制をとることが困難‐利用者、技能実習生双方の人権擁護、適切な在留管理の担保が困難である。このため、技能実習の実習実施機関の対象とすべきではない(※)。
    ※同様の観点から、訪問系サービスはEPA介護福祉士候補者、EPA介護福祉士の受入れ対象施設・機関の対象外となっている。適切な技能移転を図る観点から、実習実施機関は経営が一定程度安定している機関に限定すべきであり、その要件として、設立後3年以上経過した施設をその対象とすることが望ましい。

    ⑤適切な実習体制の確保  

     ア 介護職種を追加する場合に求められる水準・内容

    ・内容・介護は多様な業務が混在しているため、技能実習制度の名の下に、例えば掃除等、介護の中核的な業務ではない業務を担う労働力として制度が利用され、適切な技能移転が図られない懸念がある。また、介護は利用者の生命、安全に密接に関与するものであり、介護サービスの質を低下させることなく、介護業務を円滑に遂行する必要があることから、技能実習生であっても、他の日本人と同様に、安定的に確実なサービスを提供することが求められる。

    現行の技能実習制度においては、常勤職員総数50人以下の場合は3人の受入れが認められている。しかしこの規定をそのまま介護に適用すると、小規模な事業所の場合、介護の技能移転のために指導するには適切とはいえない体制となる。(介護保険サービスを提供する入所施設の約25%、通所施設の約70%が常勤職員20人未満の事業所(10人未満の場合、それぞれ約5%、約30%)である(平成25年度介護労働実態調査による)。例えば、常勤職員総数10人に対し各年3人以上の技能実習生という配置は、指導する立場の職員の目の届く範囲での実習実施体制の確保が困難となり、利用者の生命、安全に影響する懸念があることから、介護固有の人数枠を設ける必要がある。また、現行の技能実習の受入れ人数は、常勤職員総数を基礎として算定されており、これに沿って対応すれば、直接に介護等の業務に就かない者も算定の基礎に含まれることとなる。

    しかし、施設・事業所の種類によっては(例:就労移行支援や就労継続支援の事業所)、介護等の業務以外の業務(就労支援等)に従事する者が、介護等の業務に従事する者の数を上回ってしまう場合や、技能実習生の数が指導する立場にある介護等の業務に従事する者の数を上回る場合等、介護技能を移転するために適正とはいえない体制になることが想定されることから、介護固有の枠組みを設定する必要がある。なお、技能実習制度本体の見直しにおいては、受入れ人数の上限について、優良な受入れ機関の受入れ人数の上限設定の在り方、常勤職員数に応じた区分に関し、よりきめ細やかな人数枠設定の在り方について検討が進められている。

     イ 具体的な対応の在り方

    ・技能実習制度では、上陸基準省令(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令)及び変更基準省令(出入国管理及び難民認定法第20条の2第2項の基準を定める省令)において、技能実習指導員の要件を「5年以上の経験を有する者」としている。しかし、介護分野においては、適切な技能移転を図るため、介護に関する専門的知識・技術を担保することを目的として、原則として介護福祉士の資格を要件とすることが適当である。なお、技能実習指導員のほか、生活サポートや日本語教育の指導者を配置することが、より望ましいという意見があった。

    また、実習実施機関について、介護福祉士の配置割合が高いか又はサービス体制強化加算を受けている施設・事業所に限定すべきとの意見がある一方で、技能実習制度は介護福祉士資格の取得を目指すものではないため、外形的な規制は不要との意見があった。

    就労を開始する段階で、技能実習生が介護に関する一定の知識、技術を修得している必要があることから、入国時の講習については、専門用語や介護現場におけるコミュニケーションのほか、介護に関する基礎的な事項を学ぶ課程とすべきである。

    適切なOJTを実施するためには、実習実施機関に対し、自主的な規制を含め、技能移転の対象項目ごとに詳細な技能実習計画書を作成することを求めるべきである。介護分野においては、適切な実習体制を確保するため、以下の介護固有の要件を設定すべきである。

    ①小規模な受入機関(常勤職員数30人以下)の場合は、受入れ人数は常勤職員総数の10%までとする。

    ②受入れ人数枠を算定する基準となる「常勤職員」の範囲については、介護の技能移転の趣旨に鑑み、「主たる業務が介護等の業務である者」(介護職等)に限定する。また、技能実習生の夜勤業務等、少人数の状況下での勤務や、緊急時対応が求められる業務等については、安全上の懸念が生じることのないよう、業界におけるガイドライン作成等により、2年目以降の実習生に限定するなど適切な対応を図ることが必要である。

    ⑥日本人との同等処遇の担保

     ア 介護職種を追加する場合に求められる水準・内容

    ・内容 現行の技能実習制度において、技能実習生の処遇については、上陸基準省令(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令)及び変更基準省令(出入国管理及び難民認定法第20条の2第2項の基準を定める省令)に、「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること」と規定されている。同等処遇の担保は介護だけでなく、他の職種も含め、制度の根幹に関わるものであり、上記の省令で規定されている内容を確実に担保することが必要である。その際、対人サービスである介護業務は、物質的なアウトプットが生じないため、業績を定量的に把握することが困難である等の特性があることから、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の報酬水準とすることについては、この点を踏まえることが必要である。

    こうした配慮がされないまま技能実習制度に介護分野が追加されると、介護が「外国人が担う単純な仕事」というイメージとなる恐れがあるため特に重要である。なお、技能実習制度本体の見直しにおいては、「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」の履行確保等の適正化を行う方向性が示されている。

     イ 具体的な対応の在り方

    ・介護については、先行して外国人を受入れているEPAの経験を踏まえ、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)による同等報酬要件の確認の方法を参考として、以下の運用上の取組を進めるべきである。

    受入時:募集時に同等報酬等の要件審査就業規則(賃金規程)・賃金台帳にて同等報酬を確認
    受入後:訪問指導時の関係者のヒアリングや賃金台帳の確認、実習実施機関から監理団体への定期的な報告

    また、外国人が理解しにくい日本独自の賞与や手当等の賃金構造、税金についても、技能実習生が正確に理解できるよう、説明を徹底することが必要である。同等処遇を担保する方策としては、業界において同等処遇を担保するため自主的な取組を行い、実効性が上がるよう、取り組むことが必要である。主に、事業主が自発的に賃金規程を公表することを検討すべきとの意見もあった。

    今後具体化されていく技能実習制度本体の見直しの内容に沿った取組を進めるとともに、介護業界においては、上記の取組を進めるため、ガイドラインの作成等を行うことが求められる。

    ⑦監理団体による監理の徹底

     ア 介護職種を追加する場合に求められる水準・内容

    ・内容・監理団体の在り方は、適正な実習施設の確保に関して重要な役割を有しており、技能実習制度への介護分野の追加に当たっては、他職種と同様、監理団体の機能を強化することが重要である。

    現行の技能実習制度では、監理団体の責務に確実な根拠がなく、実習実施機関の状況確認が不十分との指摘があった。介護分野においても同様に不適切な実習が行われるとの懸念があるため、監理団体による実習実施機関への状況確認の徹底が必要である。

    なお、技能実習本体の見直しにおいては、監理団体による監理の適正化及び公的機関による監視体制の強化等について、以下のような内容が予定されているところである。

    ‐新たな法律に基づく制度管理運用機関による指導・監督の強化(報告徴収、立入調査の権限付与等)

    ‐監理団体や実習実施機関のガバナンス強化(外部役員設置又は外部監査等)

    ‐悪質な監理団体等に対する罰則等の強化(刑事罰、公表制度等)一方、この点について、介護分野については、上記の見直しでは対応することができないのではないかとの意見もあった。

     イ 具体的な対応の在り方

    ・技能実習本体の見直しにおいて、大幅に適正化等が図られることは、十分に評価できるものであり、介護分野においても、今後具体化されていく本体見直しの内容に沿った取組を進める。

    一方、この点に関して、介護分野において上記の見直しで対応することができるかどうか、なお見極める必要があるのではないかとの意見もあった。

    (3) 今後の対応について

    本検討会では、様々な懸念に対応する3つの点について適切な対応が図られるために必要な検討事項を整理し、これに沿って具体的方策の在り方について検討を行った。その結果、今後明らかとなる技能実習制度本体の見直しによる対応に加え、介護固有の具体的方策を併せ講じることにより、様々な懸念に対応していくことが適当であるとの結論に至った。

    したがって、今後、この中間とりまとめを踏まえ、介護分野の職種追加に向け、様々な懸念に対し適切な対応が図られるよう、具体的な制度設計を進めることとし、技能実習制度本体の見直しの詳細が確定した段階で、介護固有の具体的方策を併せ講じることにより、様々な懸念に対し適切に対応できることを確認した上、新たな技能実習制度の施行と同時に職種追加を行うことが適当である。

    なお、介護分野の職種追加に当たっては、新しい技能実習制度の施行状況を見て対応方針を判断すべきとの意見もあった。

    4 外国人留学生が介護福祉士資格を取得した場合の在留資格の付与等について

    (1)具体的な制度設計等について

    今般の在留資格拡充の対象となる者の範囲については、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)において、「外国人留学生」が、「日本の高等教育機関を卒業」した場合と明記されていることを踏まえ、該当する分野の専門的な学習を行うこと及び国家資格を取得することが求められることから、介護福祉士の国家資格取得を目的として養成施設に留学し、介護福祉士資格を取得した者とすることが適当である。

    なお、在留資格を認められることとなる介護福祉士資格を取得した外国人の就労場所については、「専門的・技術的分野」の一つとして、介護分野の国家資格取得者に在留資格が付与されることを踏まえ、日本人と同様に就労を認めるべきである。一方、単独でサービスが提供されることが基本となる訪問系サービスについては、外国人労働者の人権擁護や適切な在留管理等の観点も含め、慎重に検討する必要がある、将来的に就労を認めるべきとの意見もあった。

    外国人留学生が介護福祉士資格の取得を目指す場合の適切な指導・学習の体制については、介護福祉士養成施設で受入れる留学生の人数は、教育指導や実習受入れの観点から、看護師等養成所の運営に関する枠組みも参考にしつつ、個々の教育機関の状況に応じて、介護を学ぶ学生の各学年定員の上限を定めるべきである。また、当該留学生の教育及び生活指導をサポートする指導員等を配置するのが望ましいとの意見があった。

    上記の考え方を踏まえ、今後、関係省庁と連携の上、具体的な制度設計を進めるべきである。

    (2)その他

    「日本再興戦略」改訂2014において、「介護分野での国家資格を取得した外国人留学生の活躍支援等」として、「我が国で学ぶ外国人留学生が、日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士等の特定の国家資格等を取得した場合、引き続き国内で活躍できるよう、在留資格の拡充を含め、就労を認めること等について年内を目途に制度設計等を行う。」とされているが、この中で、諸外国の看護師資格取得者が我が国の介護分野で就労できるようにするとすることを検討すべきとの提案があったことを踏まえ、検討を行った。

    これに関しては、諸外国の看護師資格取得者に我が国の介護分野で就労できる在留資格を付与することを考える場合、どのような在留資格を想定するのかといった前提となる論点があること、また、「介護」の概念や業務が国によって区々であり、未発達のことも多い現状があること、介護と看護は共通する側面もある一方で介護は生活や自立に特化した性格を持つことを踏まえると、各々の国における看護師資格をもって、我が国の介護分野で就労するのに必要な能力を有していることとみなすことができるかについては、各国の実態の把握等を含め、引き続き慎重に検討すべきである。

    5 今後の対応について

    本検討会においては、「日本再興戦略」改訂2014において示された考え方に沿って、技能実習制度への介護職種の追加に向けた制度設計等の考え方及び外国人留学生が介護福祉士資格を取得した場合の在留資格の付与等について検討を進め、その結果をとりまとめた。

    今後、関係省庁においては、本検討会の中間まとめを踏まえ、上記の考え方に基づき、制度設計等を進めていくことを期待する。

    以上、政府報告資料より引用

    厚生労働省「2025年に向けた介護人材にかかる受給推計」

    2015年6月

    外国人介護職受け入れについての日本政府の検討状況の推移

    2006年 フィリピンよりEPA*による外国人介護士受け入れ開始

    2007年 インドネシアとベトナムよりEPA*による外国人介護士受け入れ開始

    2014年2月 自民党外国人労働者等特別委員会で、介護での外国人労働者受け入れ拡大の方向を確認

    2014年6月 「技能実習生見直しの方向性に関する結果(報告)」

    2014年6月 「日本再興戦略改定2014」が閣議決定。2015年度中に新制度移行、外国人技能実習制度の対象職種に

          介護分野を追加することが決定

    2014年11月 「技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会」発足

    2015年1月 「技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会」報告書

    2015年2月 「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」報告書

    2015年3月 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」国会提出

    2015年6月  厚生労働省「2015年に向けた介護人材にかかる受給推計」発表

    2016年3月 自民党が「労働力確保に関する特命委員会」を設置

    2016年5月  自民党 労働力確保に関する特命委員会が「「共生の時代」に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」を提言

    2016年10月 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」衆院法務委員会で可決

    2017年7月 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」施行予定

    2017年7月 政府が技能実習の職種に「介護」を追加する予定


    参考資料
    ・外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会 中間まとめ – 厚生労働省
    ・2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について
    ・労働力確保に関する特命委員会の設置にあたって
    ・「共生の時代」に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方
    ・介護人材の不足と外国人労働者受け入れ─EPAによる介護士候補者受け入れの事例から



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